NHKの朝ドラ「ばけばけ」はいろいろな意味で「化ける」物語。すごい勢いで近代化が進む明治の日本で生きたヒロイン松野トキのモデルとなったのは小泉セツさんという女性です。
そしてその結婚相手はあのラフカディオ・ハーン(小泉八雲) 。
小泉セツとはいったいどんな女性だったのか?
その生い立ちや結婚相手であるハーンとの出会いと馴れ初め、そして結婚生活など、
ドラマのヒロイン・トキとモデルとなった実際の人物である小泉セツを照らし合わせていきます!
「ばけばけ」ヒロインモデル小泉セツとは?
113作目の朝ドラとなる「ばけばけ」でヒロインのモデルとなっているのは、松江の没落士族の娘であった小泉セツさんです。
ドラマの中でのヒロインのキャラクターは?
小泉セツさんはあの小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の伴侶となる女性です!
そんなセツさんをモデルとしたヒロインは「松野トキ」。
島根県で生まれ育ち、やがてある異国人と出会います。
この異国人こそ、ラフカディオ・ハーン(のちの小泉八雲)をモデルとした、トキの結婚相手となる人物です。
松野トキは没落士族の娘。
メモ
没落士族とは?
明治維新後に旧藩士であった士族が没落した人々のこと。1872年に明治政府が国民を華族、士族、平民に分け、士族は189万人ほどいました。
しかしその大部分が没落していきました。
そのため、この世をうらめしく思っていましたが、おばけよりも生きるのが下手な人たちに囲まれながら前向きに生きていきます。
小泉セツがどのように描かれていくか?
セツをモデルにしたヒロインの松野トキが人生の途中で出会うのは、世界をいろいろとめぐってきた末に日本に辿り着き居場所を見つけられずにいた異国人。
そんな彼とはお互いの似たような境遇や怪しい話好き同士心を通わせていきます。
トキがうらめしいと思っていた世界もだんだん素晴らしく化けていって・・。
そしてトキが生きた時代は近代化がどんどん進んで行く明治の日本。暮らしや価値観もどんどん化けていきます。
それはドラマのタイトル「ばけばけ」にも表されています。
「ばけばけ」ヒロインモデル小泉セツの生い立ち
小泉セツはどのような家で生まれ育ったのかも気になるところ。
幼少期からの経歴
小泉セツ(こいずみせつ)は1868年(慶応4年)2月4日、松江藩家臣の小泉弥右衛門湊と、母、チエとの間に次女として生まれ、生後7日で親類の稲垣家の養女となります。
成績優秀で進学を希望していましたが、明治維新の影響で没落した稲垣家を支えるために、11歳から織子として働き、家計を助けました。
家族と育った環境
幼い頃から大人達から昔話や民話、伝説など様々な物語を聞いて育ったセツは物語が大好きに。
セツが18歳の時に結婚するも、1人目の夫は生活の困窮に耐えられず1年足らずで出奔(しゅっぽん)。
メモ
出奔とは?
逃げ出し行方をくらましてしまうこと。逃亡すること。
八雲との結婚エピソード
その後、22歳の初めに正式に婚姻関係を解消しましたが、小泉家も困窮していたため、セツは松江に英語教師として赴任してきたラフカディオ・ハーン(後の小泉八雲)の元で住み込み女中として働くようになります。
そして国際結婚をすることになるわけです。
ちなみに戸籍上の名前は小泉「セツ」ですが、セツ本人は「節子」という名前を好んで使っていたと言われています。
ドラマの中でもトキではなく時子と言ったり呼ばれたりすることもあるかもしれません。
「世界で一番良きママさん」と八雲に言わしめた小泉セツさん。
外国人にも物おじせずに接したセツの強さも感じます。
セツは貧しい生活を乗り切るために機織りをしていたため、他の人よりも手足が太かったと言われています。
ですが、そのことを八雲は「親孝行の証」と優しく語っています。
「ばけばけ」モデルの小泉セツと結婚相手小泉八雲の馴れ初め
小泉セツは松江藩家臣の小泉家の次女で、生後7日で稲垣家の養女になります。
一方、1890年にアメリカの雑誌記者として日本にやってきたラフカディオ・ハーン(後の小泉八雲)は、英語教師として松江に赴任することになります。
出会いのきっかけ
セツは11歳から織子として働き、1886年に結婚するも、夫が出奔したため、離婚。
1891年2月頃からハーンの家に住み込み女中として働くようになったことが2人の出会いであり馴れ初めとなります。
結婚までの道のり
その後、ハーンとセツはやがて夫婦として暮らすようになり、同年11月には、養父母を連れて熊本、神戸、東京へと移り住み、三男一女に恵まれます。
そして1896年2月にハーンはセツの戸籍に入夫する形で正式に結婚。日本人として”小泉八雲”となりました。
セツは英語はできませんでしたが、八雲の語る片言の日本語である「ヘルンさん言葉」を正確に理解し、意思疎通していたようです。
小泉セツの先祖や子どもは?家系図を紹介
小泉セツは島根県士族小泉湊の二女であり、第75代出雲国造千家俊勝の次男・千家俊信の玄孫となっています。
また、小泉八雲とセツの間には4人の子どもが生まれています。
長男・一男と妻の喜久恵との息子・時の長男・凡(セツの曾孫)は民俗学者となり、島根県立大学短期大学部総合文化学科名誉教授・小泉八雲記念館顧問、焼津小泉八雲記念館名誉館長となっています。
ばけばけヒロインモデル小泉セツという女性の人物像
小泉セツさんはどんな女性だったのか?というところにも焦点を当ててみましょう。
性格や人柄
まず性格やその人柄については、逆境でも前向きな考えができる女性だと考えられます。
没落した小泉家のために11歳という年齢で働き、一度結婚するも夫に逃げられ、この世をうらめしく思っていますが、それでも前向きに生きていたからこそ、同じようにこの世をうらめしく思っていたハーンに出会い心惹かれていきます。
そして再話文学の語り手としてハーンの著作に大きく関わっていきます。
メモ
再話文学とは?
昔話や伝説、世界の名作などを、子供に向けてわかりやすく書いたもの。
また、小泉八雲さんの伝記などで登場するセツさんは芯が強そうなイメージもあるので、そこも物語の中でどのように描かれていくのか?ヒロインのトキはどんなキャラクターとなっていくのか?にも注目です!
周囲に与えた影響
セツさん自身は実は何も成し遂げていませんし、夢を描いて特別なことをしたわけでもありません。
でもその少し変わっているけれど何気ない毎日の、普通の人生が、愛おしい。そんな風に思える人物です。
セツさんには「思い出の記」という著書があります。
この中につづられた日常の中には、結婚相手であるハーンとの間の愛や苦しみを、悲しみ、楽しさが感じられます!
魅力
当時の日本では珍しかった国際結婚をした小泉セツ。
外国人自体も珍しい当時。偏見もありました。
でも怪談話好きという共通点もあり2人は心を通わせていきます。
違う価値観を持ち、文化の違いにも戸惑いながらも、夫となったハーンとともに生き抜いていくセツは、とても魅力あふれる女性ではないでしょうか。
「ばけばけ」は多様性が尊重される今の時代にもどこか共感できる物語になっていそうです。
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まとめ
「ばけばけ」のヒロイン松野トキのモデルとなった小泉セツさんでした。
その生い立ちは没落士族の娘という過酷な始まり。
一度結婚したものの夫には逃げられてしまい、女中として働くことになった先が夫となるラフカディオハーンの家でした。
当時英語教師として日本で働いていたハーンとは、それまでの境遇が似ていることや怪談好き同士ひかれあっていきます。
困窮した苦しい生活の中でも前向きに生きてきたセツさん。
大きく変わっていく世の中の中で惑いながらも、何気ない日常の中でハーンとともに生き抜いていく。
そんなセツの姿をモデルにしたドラマとなっています!