朝ドラ「ばけばけ」の物語の序盤、印象的に登場する人物が「島根県知事」のキャラクター。
英語教師としてやってきたハーンを迎え入れ、彼の存在を理解し支える姿勢を見せる重要なキーパーソンです。
この知事のモデルとなったのが、籠手田安定(こてだ やすさだ)という実在の政治家・ジャーナリスト。
政治の現場だけでなく、新聞編集や教育、文化活動にも深く関わり、まさに“明治のマルチタレント”ともいえる人物でした。
こちらでは、そんな籠手田安定がどんな人物だったのか、なぜハーンとの接点が生まれたのか、そして「ばけばけ」の中で描かれる知事像がどこまで史実に基づいているのかを深掘りしていきます!
朝ドラ「ばけばけ」ネタバレ!知事のモデル・籠手田安定はどんな人物?
朝ドラ「ばけばけ」ネタバレ!知事のモデルは籠手田安定という人物です。
その名前は、現代ではあまり知られていないかもしれません。
ですが、明治~大正期にかけては、政治の世界でも、教育界でも、そして新聞界でも広く知られた人物でした。
まず政治家としてのキャリアは、滋賀県令(現在の知事)や新潟県知事、さらには貴族院議員まで務めるという本格派。
特に滋賀県では、琵琶湖の治水事業に尽力したことで知られており、洪水対策やインフラ整備に大きく貢献しました。
その功績があまりにも大きかったため、現在でも長浜市の水引神社には彼の肖像が祀られているほどです。
そして、教育面でも重要な存在でした。
早稲田大学の前身である「東京専門学校」で政治学の講師を務めたほか、後に読売新聞の編集にも携わり、主筆も経験しています。
新聞編集者としては、小野梓・箕浦勝人・吉田熹六とともに地域の遊説にも参加。
情報発信力と指導力を兼ね備えた、まさに“時代を動かす人”だったと言えます!
こうして多方面に活躍していた籠手田安定が、地方の一教育機関である島根県尋常中学校の英語教師に過ぎない外国人・ハーンを採用した背景には、単なる“職務上の判断”以上のものがあったと考えられますね。
朝ドラ「ばけばけ」知事のモデル・籠手田安定がハーンを迎えた背景
1890年、ラフカディオ・ハーン(のちの小泉八雲)は、島根県にある尋常中学校と師範学校の英語教師として日本にやってきました。
そのときにハーンを招聘したのが、当時島根県知事だった籠手田安定です。
この判断には、籠手田の「実力主義」「多文化受容」という姿勢が色濃く出ています。
まだ外国人に対する偏見が根強く残る時代において、ハーンのような異邦人を教育者として迎え入れることは、かなり異例の決断でした。
実際、ハーンは英語教師でありながら、日本文化や風土に深く惹かれ、のちに『怪談』『神国日本』といった名著を生み出しますが、その最初の“居場所”を与えたのが島根県であり、そして籠手田だったのです。
彼がハーンに対して偏見なく接し、力を発揮できるような環境を整えたからこそ、ハーンはその後の日本での活動を本格化させることができました。
「外国人」というだけで排除せず、その人間の中身を見る目を持っていたことが、いかに先進的だったかがよくわかります。
「ばけばけ」のドラマ内で描かれる知事像も、まさにこの籠手田の理念を反映しています。
ハーンが体調を崩した際に心配し、彼の住環境や待遇に配慮する姿、そして教育者としての資質をしっかり見抜いていた点など、その描写には史実に基づくリアリティが感じられます!
朝ドラ「ばけばけ」知事のモデル・籠手田安定の言論界・文化への深い理解と人脈の広さ!
籠手田安定がただの“お役所仕事”をする政治家ではなかった証拠に、彼が持っていた言論・文化界への関心とネットワークの広さが挙げられます。
読売新聞の主筆を務めた経験を持つ彼は、メディアの影響力を深く理解していました。
高田早苗や坪内逍遥とも親交があり、そうした文化人脈の中で教育や芸術に力を注いでいたことも特筆すべき点です。
ハーンがその後、早稲田大学に招かれるという展開にも、籠手田の間接的な影響があった可能性は十分に考えられます。
また、詩や書道、美術への造詣も深く、印章(はんこ)の収集を趣味とする一面も持っていました。
政治家としての顔とはまったく異なる、文化を愛する一人の知識人としての素顔がここに垣間見えます。
つまり、籠手田は“外国人英語教師を雇っただけ”の人ではなく、多様な価値観と文化を柔軟に受け入れ、それを社会に還元しようとする高い意識を持った人物でした!
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まとめ
「ばけばけ」の世界の中で、島根県知事という立場で登場する籠手田安定。彼の描かれ方は非常に落ち着いていて、派手さはないものの、ドラマの流れを大きく左右する存在として光るキャラクターです。
その背景には、史実における籠手田安定の多彩な経歴と信念があります。政治、教育、言論、文化といったさまざまなフィールドをまたにかけ、そこに人一倍の情熱を注いだ姿は、まさに“現代にも通じるリーダー像”です。
そして何よりも注目したいのは、「人を見抜く目」を持っていたということ。外国人であることや、前例のないやり方にとらわれず、その人の本質を見極めてチャンスを与える。ハーンを迎え入れた決断に、その哲学が表れています。
今作「ばけばけ」における籠手田知事の描写を通じて、そんな“信頼に値するリーダー”とはどういうものかを改めて感じることができるのではないでしょうか。
静かに、しかし確かに未来を切り開いていく。そんな知事の姿に、ぜひ注目してみてください。