NHKの朝ドラ「ばけばけ」は、一見すると不思議で幻想的なタイトル。
でも、実はその背後には日本と西洋文化のはざまで生きた、あるひとりの女性の物語が隠れています。
それが、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻であり、語り部としても名高い小泉セツ(旧姓稲垣セツ)です。
「ばけばけ」というドラマタイトルは、おそらく八雲が好んだ怪談や日本の民間伝承をイメージ。
でも、物語の中心にいるのは、ただの“語り部”ではありません。
時代の波に翻弄されながらも、強く、賢く、優しく、外国人である八雲と心を通わせ、彼の創作に多大な影響を与えた実在の女性!
こちらでは、「ばけばけ」の登場人物たちが誰をモデルにしているのか、そしてその実在人物がどんな人生を送ったのかをたっぷりと掘り下げていきます。
読み終わる頃には、「ばけばけ」の世界がもっと深く見えるはず!
朝ドラ「ばけばけ」ネタバレ登場人物モデルの考察!
セツ(モデル:小泉節子)
主人公のセツのモデルはもちろん、小泉八雲の妻・小泉セツ。
1868年、松江藩士の家に生まれたセツは、波乱の人生を歩んできました。
節分の日に生まれたことから「節子:通称セツ」と名付けられた彼女は、幼くして遠縁の稲垣家に養子に出されます。
勉強好きだったセツは進学を強く望みましたが、明治維新後の混乱のなかで養家が経済的に困窮し、夢を諦めざるを得ませんでした。
これがどれだけ辛かったか…何日も泣き続けたという話が残っているほど。
ですが、その悔しさが、彼女の語り部としての情熱に火をつけたとも言えそうです。
18歳で一度結婚するも、夫は家を出て行き離婚。
その後、生家の小泉家に戻り、運命の出会いが訪れます。
1890年、英語教師として松江にやってきたラフカディオ・ハーン(後の小泉八雲)と出会い、彼の世話をきっかけに親しくなります。
セツはただの妻ではありませんでした。
八雲が記した多くの日本の怪談や民話は、セツの語りから生まれたもの。
彼女の語る物語に八雲は魅了され、再話文学という独自のスタイルを確立していくのです。
4人の子どもを育てながら、八雲の“文筆パートナー”として支え続けたセツは、まさに「ばけばけ」の影の主人公と言える存在です。
西田千太郎(モデル:島根中学校教頭)
西田千太郎は、ハーンが松江に赴任したときの中学校教頭で、彼にとっての親友でした。
ハーンは西田のことを「心の優しい人」「お世辞を言わない正直な人物」と高く評価しており、実際に深い友情を築いていました。
西田は若くして結核を患い、34歳の若さでこの世を去ります。
その死はハーンにとって大きな悲しみとなり、後年まで街で見かけた似た人の後姿をつけてしまうほどだったとか。
早稲田大学の高田早苗のことも、西田に似ていると喜んでいたという話が残っているほど、西田の存在は特別だったのです。
高田早苗(モデル:早稲田大学学監)
東京大学を解雇されたハーンを、早稲田大学に迎え入れたのが高田早苗です。
坪内逍遥と共に、異文化理解者としてのハーンに目を向け、その知見を日本の教育に生かそうと尽力しました。
ドラマで登場する「理解ある上司」的な存在のモデルになっている可能性も高いです。
籠手田安定(モデル:島根県知事)
松江時代のハーンを最初に日本で“受け入れた”のが、この籠手田知事。
彼の決断がなければ、セツとの出会いもなかったかもしれません。
歴史の裏側には、こうした“仕掛け人”がいるのですね!
籠手田は撃剣をたしなむ古き侍で、ハーンはその「古き良き日本」の部分を気に入っていたようです。
マクドナルド(モデル:ミッシェル・C・マクドナルド)
ハーンと深い親交があったアメリカ海軍のマクドナルドは、ハーンの死後も小泉家を支えた存在。
特に遺産管理人としての役割を担い、未亡人となったセツや子どもたちにとっては頼れる“外国人の味方”でした。
ドラマでも、外から来た人物が日本文化と融合していく展開はここから着想を得ているのかもしれません。
荒川亀斎(モデル:彫刻家)
ハーンが松江を散歩していて、偶然見かけて気に入った石地蔵の作者がこの荒川亀斎。
芸術談義に花を咲かせ、日欧の美術観を語り合ったのだそうです。
まさに「異文化の対話」を象徴する人物です。
外山正一(モデル:東京帝国大学長)
ハーンを帝大に招いた人物。
文学講師としてハーンを認めた、インテリ層の理解者としてもドラマでは登場しそうなキーパーソン。
朝ドラ「ばけばけ」ネタバレ!小泉八雲周辺の実在の人物一覧
「ばけばけ」に登場するキャラクターたちは、実在の人物をモデルにしているはずです。
主要人物のモデルとなりそうな実在の人物を一覧でご紹介します!
- セツ(主人公):小泉セツ(小泉八雲の妻・語り部)
- ハーン:ラフカディオ・ハーン(作家・小泉八雲)
- 中学校教頭:西田千太郎(松江中学校教頭・ハーンの親友)
- 大学関係者:高田早苗(早稲田大学学監)、外山正一(東京帝国大学長)
- 知事:籠手田安定(島根県知事・ハーンを招聘)
- 外国人の友人:ミッシェル・C・マクドナルド(海軍主計官・遺族支援)
- 芸術家仲間:荒川亀斎(彫刻家)
- 医師:木澤敏(全生病院院長・ハーンの主治医)
- 親族・関係者:梅謙次郎(法学者・葬儀委員長)、藤崎八三郎(教え子・絶筆の相手)
- 子どもたち:小泉一雄(長男)、稲垣巌(次男)、小泉清(三男)
- 幼少期に影響を与えた人物:フレデリック・ワレット(フランス人・虫眼鏡の贈り主)
- その他の縁者:山口乙吉(焼津の家主)、谷ノ音喜市(相撲力士)
それぞれの人物が、セツとハーンの人生を色濃く彩っています!
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まとめ
朝ドラ「ばけばけ」の登場人物をひもといていくと、実在した歴史上の人物が多く関わっていることがわかります。
中でも、主人公セツ=小泉セツの人生は、ただの“外国人の妻”ではなく、文化と文化をつなぐ「橋渡し」のような存在でした。
彼女がいなければ、小泉八雲のあの幻想的な日本再話文学は生まれなかったかもしれません。
そして、ハーンのまわりには彼を支える優しい仲間たちもたくさんいて、「ばけばけ」が描こうとしているのは、人間同士の温かなつながりなのだと感じさせられます。
ドラマが今後どう展開していくのか、そしてセツがどのように“物語る”側から“物語られる”側になるのか…ますます目が離せません。